家づくりをはじめられた方の中には、住宅展示場やハウスメーカーのカタログを見ても、ピンとこない方も多いのではないでしょうか?
もしかするとそれは画一的な家づくりに共感できないからかもしれません。
家づくりに大切なことは、建築主と設計者がお互いの価値観に共感できることだとTAG設計室では考えています。
まずは、私たちの建築に対する考え方をご覧いただき、どこか心に響くものがあれば嬉しく思います。
01 カタチよりも空間で考える
わたしたちの仕事は格好の良い「ハコ」をつくる事ではなく、ふとした瞬間に幸せを感じたり、日々の生活をゆったりと心地よくしてくれる空間をつくることです。
家づくりをはじめると、「何LDKにするか?」という話が中心になりがちですが、間取りはあくまで空間を形成するためのプロセスにすぎません。
目先のカタチや広さだけにとらわれる事なく、空間の質を左右する素材の質感、光と影、風の流れ、人の動き等も含めて総合的に捉えることで、豊かな空間をつくれると考えています。
02 外と内のつながりを設計する
身近な自然は日々の生活をゆったりと心地よくしてくれます。
縁側、濡れ縁、深い軒下などの外と内をつなげる中間領域は、自然と環境に溶け込み暮らしを豊かにします。
住まいを設計する上で、外部の光や風、景色、樹木を内部空間へ導くことによって、自然や季節の移り変わりを感じられるような、居心地のよい空間をつくっていきたいと考えます。
そのためには開口部を安易に開口するのでなく、外と内をつなぐ重要なファクターである事を認識した上で、きちんと計画する事が大切です。
03 温熱環境
人が心地よさを感じるとき、目に見えない室内の温熱環境が大きく関わってきます。
快適な生活のための気密性・断熱性を確保した上で、建物の周りにある自然エネルギーを最大限に活用・調節することにより、快適な温熱環境をつくりだす事ができます。
夏は日差しを遮り、冬は日射を取り込み、春と秋は風を通すことにより電気やガスなどの消費エネルギーを抑えます。
一方、光や風、熱を上手に活用し、室内を夏涼しく、冬暖かくすることができます。
省エネでありながら快適で健康的な暮らしを実現するためには、開口部や屋根、庇の配置、断熱材の種類など、プランニングの初期段階から工夫することが大切です。
04 安心、安全な住まい
良い品質の安全性を考慮した建物を設計し、未来へ残す価値のあるものをつくりたいと考えています。
スクラップアンドビルドではなく、長く使い続ける持続可能な家にするには、しっかりとした根拠に基づき、構造、品質、法律を遵守した上で、シンプルでバランスの良い建築を設計する事が大切です。
敷地形状や建物形状にもよりますが、可能な場合は住宅性能表示における
耐震等級2.3に対応する構造計画とすることもご提案させていただきます。
05 自然素材と経年変化
自然素材はやわらかな風合いや経年で変化する表情を楽しめます。
お気に入りの服や靴が体に馴染んでいくように、月日とともに住む人の暮らしに馴染む家を、作りたいと考えています。
ただ、なにも高価な素材ばかりを使う必要はなく、大切な事はそれが「本物」であること
自然素材ならではの多少のキズやクセさえ、思わず愛おしく感じる、
住む人の心に優しさが宿るような空間をつんだくりたいと思っています。
06 街並みとの調和
街並みの風景と美しく調和する建築は、道行く人に心地よさを感じさせます。
単体の建築として美しいだけでなく、群となったときにも美しいと感じれるような家は、結果として飽きのこないデザインとなり、時をこえて次の世代へと受け継がれていきます。
外観は建物を印象づける大きな要素ではありますが、目先の格好良さや奇抜さに捉われることなく、風景に美しく調和しつつも、凛とした品格を感じられる住まいをつくっていきたいと思います。
07 家具と照明
家具と照明は、空間をイメージつくる上で大変重要な要素です。
家具は手触りや座り心地によって具体的に居心地の良さを実感する事ができます。
必用に応じて、造作家具を空間にぴったりとコーディネートすることによって、より居心地が良くなります。
照明は配置次第で空間の雰囲気が一変します。明る過ぎて均一な空間になってしまわぬように、
強弱をつけ、素材感を引き立てるように配置をして、暖かで落ち着きのある空間をつくりたいと考えます。
08 普遍的でシンプルであること
住宅は、車や服のように何度も買い替えができるものではありません。
何十年先も永く飽きのこない、普遍的でシンプルなデザインが好ましいと考えています。
普遍的でシンプルであることは平凡である事では無く、時代の変化にさらされても変わることの無い確かなものを意味します。
そのためには流行に左右されることなく、機能に裏付けられた、合理性、必然性により導きだされる、
無理のないシンプルで素直な家づくりを提案したいと思っています。
09 優先順位を整理する
一生に一度の家づくり、叶えたい理想を全て詰め込みすぎると、たちまち予算オーバーになりかねません。
予算に余裕がある場合は別ですが、要望に優先順位を付けられず、全てを同等に扱ってしまい、予算内に抑えるために全てが求めている理想に満たない中地半端な結果になるのは、最も避けたいと考えています。
理想の家に近づけるためには、生活の中で自分が本当に大切にしたいことは何なのかを見つめ直し、様々な条件と照らし合わせながら、要望について優先順位を決め整理をし、叶える部分とそうでない部分とのメリハリが理想への近道です。
10 新しい考え方や技術にも目を向ける
時代の移り変わりとともに、新しい考え方や新しい技術が生まれていきます。
建築業界においても、災害や温暖化、パンデミックの影響を受けて、関係法令の改正や新しい技術が開発されます。
そして今後、AIによる建築への変化や影響もかなり大きなものがあると予想されます。
新しい流れや技術を全て受けいれるのでなく、十分に検証、検討をおこなった上で、時代を超えた普遍的な価値と、時代の要請に基づく新しい価値が融合すれば、互いに調和する建築をつくれると考えています。